出雲路路地の家 / House in Izumoji Alley

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京都市北区 / Kita-ku, Kyoto / 2021年 / 個人住宅 / 木造 / 敷地面積93.38m2 / 延床面積92.72m2 / 施工:林工務店 / 写真:中村絵

新建築住宅特集2023年2月号掲載 / Shinkenchiku 2023:02

京都市出雲路、鴨川近くの細い路地に面した住宅。路地を含む街は緩やかな境界により公私の領域を曖昧にしており、その体験を住まいの中にも連続させたいと思った。そこで、柱を列柱のように並べ、三つの列柱面により間口を三つに分割した。列柱は平面図で見るとちょうど破線、または点線のような曖昧な境界線となる。それぞれの間口巾は2.1mで廊下としては広く、部屋としては少し狭いスペースとなっているのだが、細長いスペースの内側にいながら、同時にその外側も感じられるようなふわりとした領域感をつくることで、周辺の路地や街のすき間とつながっていく。

各列柱面は場所ごとに行き来できる部分や開口の入る部分、壁となる部分が決定され、必要に応じて階段やはしご、棚が設置されている。家族それぞれのスペースは緩やかに規定されているが、使われ方やそこに置かれる家具や持ち物、しつらえによってその場の性格は柔軟に変容していくだろう。ふわりと与えられた骨格が人やものの居場所を定着されるガイドとなり、ゆっくりと場所をつくりあげていくと考えている。

木の柱列は住まいの骨格をつくるのと同時に、ちょうど扉のように暮らしのシークエンスを生み出すように意図した。例えば、寝室から畳室までは容易に見通せるが、それぞれを行き来するには列柱を縫うように何度も通り抜ける必要がある。そこでは実際以上の奥行感が生まれるし、各列柱をくぐるごとに次のシーンが展開する。ちょうど路地を歩きながら色んなシーンを発見し、季節の移ろいを実感するように、常に新鮮な気持ちで住まいと向き合うことができればと思う。ある場所に徹底的に固有の構造と環境を与えることで、その街の過去と強固に接続し、未来の営みに対して柔軟に変容していける建築が生まれると考えている。

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柱を全て長さ6mの通し柱とすることで、列柱全体を一体的につくるように意図した。105角の柱材は家人が持つ文庫本や食器類の収納を設けるのにちょうど良いし、今後家具やしつらえを足していくのにも無理がない。柱列同士の間は有効で2m程度確保できることから、ベッドやテーブル、階段、それに構造ブレースも列柱同士を縫って据え付けられている。

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